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ダブルドライヴからツインドライヴへ

一機のガンダムに2基のGNドライヴを搭載するという構想は、第二世代ガンダムが開発された当時から試みられていましたが、GNドライヴ同士が引き起こす謎の干渉現象により実用化は一時的に断念されることとなります。その後もダブルドライヴについての研究は続けられ、干渉現象を解決する目途も立ち、第三世代ガンダムにおいてはGNドライヴを追加搭載するための拡張装備さえも開発されています。しかしこの時点においては、ダブルドライヴでの運用が真剣に検討されることはありませんでした。現状でもガンダムの性能は三大陣営の保有するMSに対して圧倒的に優位であったこと。プトレマイオスにはGNドライヴは4基しかなく、ダブルドライヴの機体を構成した場合、他のガンダムが運用できない状態になることなどが大きな理由です。ガンダムは相互に監視しあう関係にあり、特定の機体が過大な戦闘能力を持つことは好ましくないという裏の事情もあったかもしれません。

大きな変化をもたらすこととなったのは、アレハンドロ・コーナーによる三大陣営に対する擬似GNドライヴ搭載型MSの供与です。同等の性能を有する多数の敵に対抗する上では、戦力を平均化するよりも卓越した個の存在が重要であると考えられたのでしょう。そのために配備されたのがGNアームズであり、ガンダムとドッキングしたGNアーマー形態の性能を十二分に発揮するためにはダブルドライヴの出力が必要でした。ダブルドライヴ機の実戦配備に本格的に取り組むこととなったCBでは、専用の実験機も用意されました。それがアストレアIIと呼ばれる機体です。名称はアストレアとされているものの、ベースとなったフレームはエクシアの発展型であり、ダブルドライヴのために新たに建造されたというわけではなく、以前から開発されていた次世代機のテストベッドを流用したものと考えられます。

アストレアIIは胸部の他に左肩にもGNドライヴソケットを備えています。戦力として活用するための起動実験では、2基の粒子貯蔵タンクに加え、GNアームズの大型GNコンデンサーも接続することで起動が試みられましたが、失敗に終わっています。これは2基の粒子貯蔵タンクを同調稼働させようとした結果で、仮に粒子貯蔵タンク単基とGNアームズの組み合わせであれば、何も問題無く起動したことでしょう。過去にはガンダムラジエルが粒子貯蔵タンクのみで運用されたこともありました。ツインドライヴシステムほど厳しい条件ではないにせよ、ダブルドライヴにおける相互干渉問題をクリアするためには、2基のGNドライヴを同調させる必要がおそらくあるのでしょう。負傷したロックオン・ストラトスが戦線を離脱することを望まなかったこともあり、アストレアIIが戦力として組み込まれることはありませんでした。結果的に温存されたアストレアIIの存在は、国連軍に敗北した後のCBにとっての希望を育む母体としての役割を果たすこととなります。
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イノベイドを越えたティエリア

専従特派員として外宇宙航行艦スメラギに乗り組むイケダ三世。彼はかつて記者としての経験と人脈を活かしてカタロンの情報部門で活躍していたイケダの孫にあたる人物です。カタロン解散後、ジャーナリストへと復帰したイケダはその鋭い嗅覚によりELS事件についても早い時点で独自に取材を行っていました。その後に勃発したイノベイターを巡る紛争にも積極的に関わっていったことでしょう。真実を伝えることにより、紛争終結のために大きな役割を果たしたかもしれません。祖父の姿はイケダ三世にとって憧れとなり、彼の針路を決定づけたはずです。そのイケダ三世が世界に向けてリポートを行う中、背後の空間を通過していく一人の人物がいました。ティエリア=アーデです。

正確に言えば、ティエリアと思しきイノベイドであり、彼本人であるという確証はありません。レティシア=アーデやリジェネ=レジェッタ、全く別のイノベイドという可能性もあるでしょう。ただ、ティエリアのアイコンとも言えるメガネを装着し、パーソナルカラーである紫のノーマルスーツを着ていたことから、やはりティエリアである可能性が最も高いと言えます。彼がなぜスメラギの乗員となっているのかと言えば、それは今もなお人類を支え導くという役割を果たし続けているからに他なりません。紛争の根絶が成った西暦2364年においては、私設武装組織としてのCBはすでに消失しているものと考えられます。何らかの形で人類を見守る活動は続けているものと思われますが、それはかつてのように密かにというわけではなく、地球連邦に公認されたものであるはずです。ティエリアの現在の身分も、そのCBの後継組織の一員ということなのかもしれません。

紫のノーマルスーツの人物がティエリアであるとすると、イケダ三世のレポートの一言との間に矛盾が生まれることになります。それは「乗員1200名は全員がイノベイターである」という点です。公には全員がイノベイターであると公表しているだけで、連邦政府公認の存在となっているティエリアの正体が秘匿されているというだけのことなのかもしれません。社会を監視するために生み出された人造人間イノベイドは、人倫に著しく背いた存在と言えます。ELSとの共存さえも可能となった社会においても受け入れられるとは考えにくく、連邦政府も一般には公表せず、新たに製造することも行ってはいないでしょう。社会にすでに存在しているイノベイドについてはイノベイターとして扱い、ヴェーダからの操作によって寿命が設定され、徐々に数を減らしていくような施策が講じられているのではないでしょうか。

イノベイドであることを隠しているだけ、というシンプルな解答とは別に、もう一つの可能性も考えられなくはありません。それはティエリアが実際に、純粋種のイノベイター、あるいはそれに限りなく近い存在へと変革を果たしているのかもしれないということです。かつてリボンズ=アルマークは、刹那との戦いでオリジナルのGNドライヴを奪取した際に言いました。「これさえあれば自分は純粋種のイノベイターさえも超える存在になれる」と。これはただの思い込みでは無かったのかもしれません。イノベイドは人間の細胞をベースに生み出された存在です。であれば、人間の遺伝子に作用しイノベイターへと変革させるGN粒子の効果は、イノベイドに対しても有効である可能性は十分に有り得ることです。イノベイターのみで構成されるスメラギの乗員となるために生み出された、純粋種に等しい新世代のイノベイド。それがティエリアの現在の姿なのかもしれません。
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