SSブログ

劇場版 機動戦士ガンダム00 Part.20

トランザムを使用し、GNバスターライフルから発射した膨大な粒子ビームによって超巨大ELSの表面を切り裂き、内部への侵入を試みようとした刹那でしたが、そのビームはELSが粒子制御を学習してしまっていたことで無効化されてしまいました。ティエリアがELSと連邦軍の攻防のすべてを把握していたであろうことは確かで、連邦軍の大型GNレーザー砲すら防ぐ超巨大ELSにはダブルオークアンタの攻撃も通じない可能性があるということもわかっていたでしょう。それでもその点を刹那に注意喚起することが無かったのは、砲撃よりも粒子の収束率の高いビームサーベルによる至近距離からの攻撃ならば、あるいはその防御を突破できる可能性もあると考えたからかもしれません。

一刻を争う状況で、内部への侵入手段に窮する刹那の道を切り開いたのは、機体はELSによって浸食され、もはや戦闘不能の状態となっていたグラハムでした。クアンタによって切り裂かれ、修復されつつあった超巨大ELSの傷口へとグラハムは飛び込み、自爆することによってふたたび傷口を開き、刹那のための侵入口を作り出すことに成功します。この時点でグラハムが率いていたソルブレイヴスは全機が失われており、戦後に創設され、ブレイヴのロールアウトからまだ間も無かった精鋭部隊は壮絶な最期を迎えることとなりました。

刹那は超巨大ELSの内部へと突入することに成功しますが、その中枢に至るにはまだ時間が必要でした。超巨大ELSの直径は約3000kmもあり、内部はELSの母星の海と同質の液体によって満たされているからです。宇宙空間であれば1000kmの距離も一瞬で踏破できるガンダムですが、水中においてはその速度は大幅に減衰してしまいます。さらには中枢が中心部に存在するとは限らず、内部に存在するELS、構造物との接触にも注意を払わねばなりません。刹那が急ぎながらも慎重にELSの中枢を目指す中、外部での戦闘の様相にも変化が起きていました。それまではELSの侵攻を阻止することを目的としていましたが、もはや連邦軍が壊滅状態となったことで、個々がただ生き残るためにあがくためのものとなっていました。刹那という希望の存在を知るCBにとってはそれはまだ意義のある戦いであったでしょうが、何も知らない連邦の軍人達の絶望の深さは想像に難くありません。

そのような状況で、アレルヤとマリーが搭乗するハルートは生き残っている連邦軍の救出に全力を注いでいました。3人による反射と思考の融合によって、自機だけであればELSに付け入る隙を許さないハルートも、その救出活動によって徐々に損耗し、遂には戦闘不能となり、ELSに撃破されてしまうことになります。ハレルヤはその行動を偽善であると突き放しますが、もはや勝利が無いこの戦いにおいてなすべきは、刹那による対話が成るまでに一人でも多くの人間を生き残らせることであることは、ハレルヤにもわかっていたはずです。この戦いにおいてガンダムは多くの連邦軍人の生還に寄与することとなりました。アロウズとの戦いの後も、かつての武力介入で大きな被害を受けた三陣営出身の軍人たちにはCBに対する敵意が根深く残っていました。それが簡単に払拭されることはないとしても、ELSとの戦いの後の時代において、アレルヤの行動は大きな意味を持つことになるのかもしれません。
nice!(0) 

nice! 0