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ELSクアンタ

マイスターである刹那と共に地球へと帰還したダブルオークアンタ。その姿は大きな変貌を遂げていました。クアンタムバーストの際にパージした装甲は再生され、機体全体のデザインも曲線が多い生物的なものへと変わっており、新たなる生命体へと生まれ変わった刹那と同様に、ELSとの融合によって機体が再構成されたものと考えられます。GNドライヴやGNコンデンサといった重要なパーツは変貌前と変わらぬ位置に存在しているものの、明確に失われてしまっているパーツも見受けられます。それは6基のGNソードビット、およびその基部であるGNシールドです。クアンタの量子ジャンプに追従してGNソードビットもELSの母星へとたどり着いたはずですが、対話にはもはや不要のものとしてGNソードVのように放棄されたか、あるいは機体の一部として取り込まれたのかもしれません。胸部のGNドライヴとの直結のために背部へと移されていたGNシールドについては、ELSと融合した段階においては残存し、機体と共に再構成されたものと思われます。

そのGNシールドが消失したのは、ELSと融合した刹那がELSの母星を離れ、外宇宙を旅している間のことと考えられます。ELSの知識を基に行われたこの旅では、刹那はいくつかの知的生命体との接触を果たしています。その中には人類やELSと同等以上の知性を備えた生命体もおり、おそらく脳量子波によって刹那とのコミュニケーションに成功した彼らは、刹那の旅に同行することを望みました。彼ら自身が宇宙へと進出する技術、能力を備えていたのかは定かではありませんが、その望みはクアンタとの融合という形で叶えられることとなります。彼らもまた科学技術を発展させた人類とは全く異質の進化を辿った生命体であり、その外見は触手を持つ海洋生物、あるいは花のようでもあります。地球に帰還したクアンタの背中に見られたGNシールドに代わる謎のパーツ。その正体はELSとはまた別の異星体であったのです。

ELS、そしてさらなる異星体との融合も果たしたダブルオークアンタ。客観的視点においてはELSクアンタと呼称されているものの、別の生命体も介在している以上、それは正しい呼び名とは言えないでしょう。CBの命名規則に照らせば、ダブルオークアンタE+Xとでもなるのかもしれません。しかし刹那自身にとってはその姿がどう変わろうが、ガンダムであり、ダブルオークアンタであるはずです。異種との融合を経て進化したクアンタは、戦いではなく対話の道を選択した刹那を体現した機体であり、もはやモビルスーツではなく、機械でさえありません。「刹那」とはまた別の新しい生命体と言うべき存在であり、乗り込む刹那も操縦するのではなく、クアンタとの対話を行っているのかもしれません。戦いを行わせたならば、かつてのクアンタさえも比較にならない、絶対者のごとき力を発揮するであろうことは疑いありません。しかしそれは対話によって生まれた新たなクアンタの存在意義を否定するものであり、地球へと帰還した「刹那」が、ガンダムによる武力介入という手段を用いることは二度と無いのです。
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