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GNソードビット

刹那の意思を受け、意識共有による対話の能力を高められたダブルオークアンタですが、それだけで紛争を止められるというわけでは当然なく、これまでと同様に実力によって紛争を鎮圧するために、その戦闘能力も強大なものとなっています。主武装であるGNソードVはエクシアのものから数えて5代目となる最新型で、刀身を回転させることでソードモード、ライフルモードを切り替えるという構造がGNソードIIから引き継がれているほか、その刀身はGNソードIIIで採用されたGNコンデンサを発展させた新素材のみで形成されており、刀身に定着させたGN粒子を熱転換することで超高熱を発するというその機能はさらに高まっているものと考えられます。クアンタの手持ちの武装はこのGNソードVのみであり、GNソードIIとGNビームサーベルをそれぞれ2本ずつ装備し、左右のバインダーにはGNマシンガンやGNミサイルが内蔵されていたダブルオーライザーと比較すると、一見軽装のようにも見えます。そのクアンタの戦闘能力をダブルオーライザー以上のものへと引き上げているのが、刹那機としては初めて装備されたビット兵器「GNソードビット」です。

GNソードビットは左肩に位置するGNシールドに3種6基がマウントされており、GNシールドに内蔵されたGNドライヴからの粒子供給を受けることで急速チャージが可能です。GNソードビットはその名の通りビット機能を付与されたGNソードであり、イノベイターである刹那の脳量子波による直接操作によって、超高速で対象に刺突攻撃を加えることを目的としています。GNソードであるためGNフィールドによる防御も無効であり、GNフィールドが標準装備となった連邦軍の主力機ジンクスIVを想定した武装であることは明らかです。ビットの数が6基のみというのは、同じく純粋種のイノベイターで、合計154基ものGNファングを同時操作していたデカルト・シャーマンと比較すれと少なすぎるようにも思えます。しかしごく近距離において少数のビットを集中して制御することから、その精度ははるかに上回るものであるはずです。GNソードビットの刀身にもGNソードVと同じ新素材が用いられており、それぞれのビットの基部にはグリップが格納されていて、手持ちの武装としても使用することが可能です。3種のソードビットの中で最も小型であるタイプCにはビーム発生装置が内蔵されており、クアンタにおいて削減されたビームサーベルの役割を果たすものと見られます。

クアンタムバーストにおいて意識共有領域の形成を補助する役割を果たしていることからもわかる通り、GNソードビットはそれぞれが強力なクラビカルアンテナとしての機能も持っています。戦闘においてその能力は防御手段として用いられ、6基のビットを環状に配置することで、中心部にきわめて強固なGNフィールドを発生させることが可能となっています。粒子制御にビットを必要としない通常レベルのクアンタムバーストにおいては、GNフィールドで機体を守りながら意識共有領域を展開することになるのでしょう。さらにGNソードビットにはGNソードVと合体することでその性能を高めるという役割も与えられています。6基のビットと合体した状態のGNソードVは、目的に応じてGNバスターソード、GNバスターライフルとなり、攻撃力は飛躍的に向上することになります。GNバスターソードは過去にも開発されていましたが、実戦に投入する上で障害となっていたのはその巨大さゆえの取り回しの悪さでした。しかしビットと合体することで必要に応じてバスターソードを形成するという方式を採用することで、その問題は解消されることとなりました。

GNバスターライフルは劇中において数kmクラスのELSを吹き飛ばし、超巨大ELSの表層を切り裂いたことからもわかる通り、トランザムを使用した場合には巨大艦ソレスタルビーイングの超大型GNレーザー砲に優るとも劣らない威力となっています。これは膨大な粒子量をGNソードVと6基のGNソードビットによって形成される超大型クラビカルアンテナで制御、圧縮しているためで、おそらくそのプロトタイプとなったのは、同様に新素材のGNソードを粒子制御に用いていたダブルオーガンダムセブンソードのGNソードIIブラスターなのでしょう。対話のために積極的な戦闘を避け、宇宙の彼方へと旅立ってしまったためにクアンタの戦闘能力はその一端が示されるのみとなりました。しかし直結したツインドライヴがもたらす莫大な出力、イノベイターへと完全に変革した刹那によって自在に行われるであろう量子化など、およそ対抗しうる武力が地球には存在しないのは明らかです。人間同士の紛争を止めるための力としてはあまりに強大過ぎたクアンタが、その力を発揮することなく地球を去ることとなったのは、あるいは必然であったのかもしれません。
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GNT-0000 ダブルオークアンタ

ツインドライヴシステムを搭載し、アロウズ・イノベイドとの戦いでは圧倒的な戦闘能力を発揮したダブルオーガンダムですが、その完成度は必ずしも高いものとは言えませんでした。ツインドライヴを安定稼働させるためにはオーライザーのような外部制御装置を必要とする上、真の性能を発揮したツインドライヴの粒子生産量には対応することが出来ず、生み出された粒子の大半は無為に放出せざるを得ませんでした。また、ダブルオーは量子化などという現象は全く想定されずに開発された機体であり、たとえ新たなツインドライヴが完成したとしても、安全上の理由からツインドライヴを搭載して運用することは望ましくありません。さらに真のイノベイターとして変革を果たした刹那の能力は既存の機体では活かしきることが出来ないと判断されたこともあり、CBは刹那のための新たなガンダムの開発を決断することになります。基本となるフレームはダブルオーの時点で十分な完成度に至っていたこともあり、他の新世代ガンダムには後れを取りながらも開発は順調に進み、約二年の期間を経て、CBとしては初めてのイノベイター専用機「GNT-0000 ダブルオークアンタ」はロールアウトすることになりました。

ダブルオークアンタに搭載された2基の新たなGNドライヴはツインドライヴ専用として開発されたものであり、外部の制御装置に依ることなく完全な同調を果たしています。そのため、ダブルオーライザーでは75.1トンにまで増大していた機体重量は、クアンタでは63.5トンと大幅に軽減されることとなりました。ダブルオーではコーン型スラスターに覆われて両肩部に位置していたGNドライヴは、クアンタでは胸部と左肩のGNシールド内部に搭載され、コーン型スラスターは廃止されています。コーン型スラスターが採用されなかった理由としては、粒子放出量のさらなる増大によって物理的なスラスターではもはや処理が困難であること、粒子制御技術の進歩によってGNフィールドを応用した非実体型のスラスターが実用化に至ったことなどが考えられます。また、クアンタにおける新たな試みの一つ「2基のGNドライヴの直結稼働」の妨げとなってしまうということも理由の一つでしょう。

2基のGNドライヴを直結させることにより、ツインドライヴは粒子生産量とその純度をさらに高められるであろうと予測されました。そのため、クアンタは必要に応じてGNシールドを背部に移動させ、2基のGNドライヴを接続できる構造となっています。直結させない状態が基本となっているのは、イノベイターの脳量子波と連動し、直結した状態のツインドライヴの性能が未知数であるためです。運用を重ね、常時直結させた状態でも安全であるということが確認された場合には、GNシールドに内蔵されたGNドライヴは背部へと移設される予定であったかもしれません。ツインドライブの粒子量は直結させずとも消費しきれないほどに膨大であり、粒子の純度は攻撃力には影響を及ぼしません。つまりCBが直結式のツインドライヴに期待したものは兵器としての性能が主ではなく、刹那が示した紛争への新たな介入手段「トランザムバースト」の効果をより高めることにありました。

ツインドライヴを構成する2基のGNドライヴを直結させ、刹那の脳量子波と連動することで形成される意識共有領域は、ダブルオーライザーによるトランザムバーストをはるかに上回る意識共有を可能とするとされ、新たに「クアンタムバースト」と名づけられています。劇中では超巨大ELSの中枢において使用され、その際クアンタは全身の装甲の多くをパージし、内蔵されたGNコンデンサを露出させることで粒子放出効率を最大限にまで高めていました。これはクアンタムバーストの効果を最大限まで高める方法ではあるものの、使用後の性能低下などのリスクは大きく、もはや後が無いELSとの戦いであったからこそ用いられました。装甲をパージせず、部分開放することでもクアンタムバーストを行うことは可能で、通常の武力介入においてはおそらくこちらの方法が用いられるのでしょう。

対話を果たすため、銀河のいずこかに存在するELSの本星へ向かうこととなった刹那とティエリアは、ダブルオークアンタに搭載された新たな能力「量子ジャンプ」を実行しました。これはダブルオーライザーにおいて半ば事故のような形で発現していた量子化現象を解析し、任意に使用できるようにしたもので、6基のGNソードビットによってGN粒子を超高密度に圧縮し、形成されたゲートにクアンタが飛び込むという形で行われます。ごく近い距離の移動しか行えなかった量子化に対し、量子ジャンプは目的の座標さえ把握できていればその距離はほぼ無制限であり、超巨大ELSとの意識共有によってELS本星の場所を知った刹那は、一瞬にして宇宙の彼方へとたどり着いたはずです。しかしこの量子ジャンプはイノベイターの能力があればこその機能であり、量子化についてもツインドライヴが存在しない時期においては実際に検証することは不可能でした。そのような状況で開発された量子ジャンプの信頼性は高いとは言えず、おそらくクアンタのロールアウト後、長い試験期間を経て実用化されるものであったはずです。脳量子波によってGNドライヴとリンクしている刹那には量子ジャンプが成功するという確信があったものと思われますが、その開発過程を見る限り、客観的にはきわめて危険な賭けであったことは間違いありません。
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