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トランザムのオーバーロード

ELSとの戦いでは、追い詰められた連邦軍の擬似GNドライヴ搭載機がトランザムをオーバーロードさせることで機体を自爆させるという場面が多く見られました。防衛線を突破した中型ELSを食い止めようとしたアンドレイや、刹那のために道を切り開こうとしたグラハムのほか、刹那の介入によって未遂に終わったものの、機体の大半を侵食されたパトリックもまた、ELSを道連れに自爆を試みていました。劇中の描写だけでは、あたかも特攻のための機能のようにも思えるこのオーバーロードですが、当然ながらそうではないでしょう。トランザムのオーバーロードはおそらく機体性能をさらに引き上げるために搭載された新機能であり、スペックの3倍相当の出力が得られるとされるトランザムは、この機能を使用することでより短時間ながらもさらなる高出力を得られるのかもしれません。トランザムによる自爆は連邦軍機だけではなく、ティエリアのラファエルガンダムも行っています。ラファエルガンダムには擬似GNドライヴは搭載されていないことから、その爆発力を生んだのは粒子貯蔵タンク、および機体各部のGNコンデンサーに貯蔵された高濃度圧縮粒子ということになります。ラファエルガンダムと連動してセラヴィーガンダムIIも自爆していましたが、3基の擬似GNドライヴを搭載しているにもかかわらず、その爆発の大きさはラファエルと大差がなかったことから、通常のトランザムと同様に擬似GNドライヴ自体はあくまでトリガーであり、爆発の威力には関係は無いのでしょう。

限界を超えて使用すれば機体が自爆してしまう危険性がある以上、オーバーロード機能には本来はリミッターが設けられているはずですが、自爆した機体にはそれが無かったようです。これはもはや後が無いELSとの決戦において、機体をELSに侵食され、助かる見込みが無いと判断した場合には、少しでも多くの敵を道連れに自決せよという暗黙の命令のもと、あえてリミッターが排除されていたものと思われます。戦後、多くのパイロットを失った連邦軍はその生残性を高めるための方策として、ジンクスIVにはコアファイターシステムが搭載されることになりますが、同時にトランザムのオーバーロード機能については封印が施されることとなります。安易に使用されることの危険性を考慮しての処置と見られますが、あるいは結果的にパイロットたちに特攻を勧めることとなったこの機能の存在が生き残ったパイロットたちを通じて公となり、批判を浴びたためかもしれません。
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