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侵食されたプトレマイオス2

ラストミッションを果たしたCBですが、その損害はかつてないほど大きなものとなりました。失われたわけではないものの、刹那とダブルオークアンタは宇宙の彼方へと旅立ち、戦力として復帰する可能性はほぼありません。そしてアリオスガンダム、ガンダムハルートの両機がELSによって撃破されてしまったことで、アレルヤは超兵としての能力を発揮し得る機体をすべて失うこととなりました。幸いであったのはハルートに搭載されていたオリジナルのGNドライヴは無事であったということでしょう。劇中の描写では戦闘不能となったハルートからいち早く脱出したマリーに対して、アレルヤはかなり遅れて脱出し、危うく爆発に巻き込まれそうになっていました。これはおそらくかつてのティエリアと同様に、GNドライヴを機体からパージする作業を行っていたためと考えられます。ELSとの戦いではガンダムハルートはきわめて高い戦闘能力を発揮したことから、CBはハルートの再建造に取り組むことになるのかもしれません。しかし失われた第五世代機も組織の困難な財政事情の中ようやく建造されたものであり、ELS戦後のさらに傷ついた組織の状況では、新たな機体の建造は容易なことではないでしょう。

ELSとの戦いでは、プトレマイオス2も船体の半分以上を侵食されるという深刻なダメージを負うことになりました。しかしこれについては、戦闘後に一応の回復を果たしたものと考えられます。ELSとの対話でさしあたり刹那がELSに要求したことは、戦闘の停止、一方的な融合行為の停止、そして融合した対象を可能な限り復元するということであると思われます。ELSによって半身を侵食され連邦の研究施設に収容されていた少女アーミア・リーも、刹那がELSの本星へと旅立った直後、侵食されていた半身が人間としての姿を取り戻し、意識を回復しています。これはアーミアがイノベイターとして高い素質を持っており、彼女自身がELSと対話した結果でもありますが、ELS自身にその意思があればこそです。それ以外の浸食された人々についても、生死は別として元の姿を取り戻していたかもしれません。侵食した人間でさえも復元する意思をELSが見せていたことを考えれば、機械であるプトレマイオス2などは、探査船エウロパなどと同様にほぼ完全な形で復元されたものと思われます。

CBにおいて問題となったのは、復元されたプトレマイオス2をそのまま使用するべきか否かということでしょう。刹那がいなくなり、ELSとの直接の対話も不可能な中、半ば以上がELSによって再構成された船をそのまま運用し続けることには大きな不安が伴います。しかし組織の事情を考慮すれば、プトレマイオス2ほどの巨大な機体を新造することもまた困難です。結論から言えば、CBはプトレマイオス2をそのまま使用するという決断を下したのだと思われます。対話のためにELSの本星へと旅立った刹那の覚悟を思えば、自分たちがこの程度のことで戸惑っていてはいけないはずだ、そんな想いがあったのではないでしょうか。ELSと融合したプトレマイオス2の性能については元通りであるか不明です。ELSが模倣したジンクスIVには、合理化、最適化されたのではないかと思われる点も見られました。あるいはプトレマイオス2も以前とは違った形状に進化しているかもしれません。
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ELS後の世界

ELSとの対話を果たしたことにより、人類は未曽有の危機を乗り切ることが出来ました。しかしELS後の世界はこれまで以上の不安定要素を抱えることとなり、ラストミッションを終えたはずのCBの重要性は、さらに増していくことになります。ELSとの戦いにおいて、地球連邦軍は結集した戦力の7割以上を失うこととなりました。これは未だ人類同士の紛争が絶えない世界においては治安維持も困難なほどの損害であり、反対する勢力を半ば武力によって制することで成立した連邦体制にとっては致命的と言えます。ELS戦後の地球においては、連邦から離脱しようとする国が続出するかもしれません。

得体のしれない異星体であるELS、そしてそのELSとコミュニケーションを行うことが可能な新人類イノベイターの立場を全面的に擁護しなければならないということも、連邦政府の立場を厳しいものとしています。いかに言葉を尽くしたところで、実際に戦ったものほどにはELSの脅威を理解することは不可能であり、多大な損害をうけながらもELSとの共存を図ろうとする連邦政府の姿勢は弱腰と映るかもしれません。また、ただでさえその能力の高さによって既存人類との間に軋轢を生むであろうイノベイターは、ELSと交信できるというその能力によってより不気味な存在として見られることになるでしょう。

ELS戦後の混乱に臨む上で、連邦政府が採るべき方策はただ一つと言えます。それは正確な情報の周知を徹底するということです。ELSとの戦いはなぜ起こり、なぜ終息したのか。イノベイターの能力とその発生条件など、連邦自身も解明できていないことは多いにせよ、ヴェーダの力も借りることで可能な限りの情報を市民に提供していくことが、混乱の拡大を抑止する最善の手段であることは間違いありません。嘘でごまかし、事実を隠蔽することは疑念と誤解を生み、対立を深めるだけであるということを、アロウズによる暴虐を通じて連邦政府は思い知ったばかりであるはずです。
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劇場版 機動戦士ガンダム00 Part.23

ELSとの対話を果たした刹那はELSの母星へと旅立つべく超巨大ELSから脱出を図りますが、グラハムによって開けられた侵入時の穴は当然ながらすでに塞がれていました。刹那はやむなくGNバスターライフルによって脱出口を作ろうとしますが、直後にELS自らが外への道を作り出したことにより、この期に及んでELSに対して攻撃を行うというリスクを刹那は回避することになります。この場面、外に出たいという刹那の意図をELSが理解しなければ、GNバスターライフルが放たれていたようにも見えますが、そもそも刹那にはその意思はなく、外に出たいという意思を伝えるためのジェスチャーとして、GNバスターライフルを構えたという可能性の方が高いでしょう。

脱出した刹那はすぐさまELSの母星への超長距離量子ジャンプを実行し、それを見届けるかのようにELSは戦闘を停止しました。そして地球への侵攻を止めたELSは集結、融合し、人類に対して敵意が無いこと伝えるべくある形へと変貌することになります。それは一輪の花でした。この花は、かつて戦いに疲れた刹那の夢の中にマリナとともに現れた花であり、アロウズとの最終決戦の前にフェルトから贈られた花と同じものです。おそらく自覚してはいなかったと思われるものの、刹那にとってはその花のイメージこそが戦いとはもっとも遠いものであり、刹那の深層意識に触れたELSはそれが戦いを望まないということを示す形であると理解したのでしょう。

月に匹敵する大きさの超巨大ELSが変貌した花は全世界の人間が目撃し、戦いが終わったという事実を理屈を越えて理解させられることになりました。結果的に花という形状をとることとなったELSですが、あるいは平和の象徴として別の形状を選択していた可能性もあります。刹那にとって戦いから遠い存在、戦いを否定する存在といえば、言うまでも無くマリナ・イスマイールでしょう。フェルトから贈られた花がかつて夢で見たものと偶然同じであったことから、刹那の中ではその花のイメージが補強され、平和のシンボルとして定着することになりました。しかしもしフェルトから花を贈られていなかったとしたら、刹那にとっては平和=マリナというイメージが依然として勝ることとなり、それを読み取ったELSが宇宙に巨大なマリナ像を出現させていたかもしれません。
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