SSブログ

グラハム・エーカーの帰還

ダブルオークアンタを超巨大ELSの中枢へと突入させるため、トランザムをオーバーロードさせて自爆し、壮烈な戦死を遂げたかと思われたグラハム・エーカーでしたが、まさかの生還を果たし、刹那に代わる新たなガンダムマイスターとしてCBに参加することとなりました。しかしながら、グラハムが起こした爆発の威力は凄まじいもので、閉じかけで形状が固定されていなかったのだとしても、超巨大ELSの表層を貫く大穴を穿っています。その爆発の中心にいたはずの彼が、どうして生還することができたのか。そこにはいくつかの要因が考えられます。そもそもなぜグラハムの肉体が無事だったのかと言えば、それはグラハムを侵食していたELSが彼を守ったからに他なりません。突入する場面のグラハムの搭乗機ブレイヴの状態を見ると、ELSジンクスに背部から覆いかぶさられるように侵食され、腹部にあるコックピットブロックは内部までELSに覆われていました。火星でのラファエルガンダムや、アンドレイの搭乗するジンクスIVの自爆など、ELSはトランザムによる自爆を幾度か経験、学習しており、ダメージを軽減する手段もすでに会得していたものと考えられます。自爆の予兆を察知したELSは防御手段を講じ、結果的にコックピットブロックが守られることとなったのでしょう。

爆発による即死は免れたグラハムですが、肉体は半ばまでELSに侵食されており、そのままでは遠からず死を迎えていたはずです。そのグラハムを救うこととなったのは、刹那がELSの中枢で発動させたクアンタムバーストです。グラハムを宿したブレイヴのコックピットブロックは、突入と爆発の勢いのままに、超巨大ELSの中枢近くまで流れ着いたものと見られます。それにより、クアンタムバーストが生み出した意識共有領域に至り、増幅されたグラハムの脳量子波から生存への願望を感じ取ったELSは、その時点で可能な限りの人体の模倣を行い、グラハムを生かし続けることになります。そしてグラハムの脳量子波はELSの母星へと旅立つ間際にあった刹那にも届くこととなりました。量子空間でグラハムと再会した刹那は、このままの死を選ぶか、それともELSを受け入れてでも生きることを選ぶかを問います。その答えは、かつて刹那との決闘に敗北し、それでも生きることを選択した時点で出していたというべきでしょう。刹那を介してELSと対話を行い共に生きることを決意したグラハムは、自身の代わりにガンダムマイスターとして戦ってほしいという刹那の願いも受け入れ、生還を果たすこととなりました。ELSと人間の共生体となり、あたかもハイブリッド・イノベイターとなったかのように思われるグラハムですが、イノベイターとして変革しているのかについては実は定かではありません。共生を可能としたELSとの対話もクアンタムバーストによる意識共有領域下で行われたもので、変革の明らかな証とはなり得ません。あるいはグラハムは、イノベイターへと変革することなくELSとの共生を果たしている人間という、稀有な存在であるのかもしれません。
nice!(0) 

nice! 0