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劇場版 機動戦士ガンダム00 Part.11

火星宙域に到着したCBは、機体がELSに完全に取り込まれて脱出不可能となったデカルトの断末魔を聞かされることとなりました。この時点ではまだデカルトは生存していたことから、あと少しCBが到着するのが早ければ、救助することも可能であったかもしれません。木星にELSの大群が出現したことを知ったCBは、ELSの元へ向かうことを即断していました。対して、巨大な組織である連邦軍は、ELSへの対処方針を決定するまでにはある程度の時間がかかったはずです。実効性も定かではないのに、3隻しかない貴重な新型戦艦のうちの1隻と、ガデラーザを火星へ派遣するという案には反対意見も多かったでしょう。戦力を分散させず、防衛線の構築に専念すべきだという考えはもっともで、派遣部隊の全滅という結果だけを見れば、それが正しい判断だったと言えます。しかし直ちに行動を起こしたはずのCBの火星への到着は、連邦軍が先行派遣した巡洋艦2隻よりも大きく遅れることとなりました。新たにブースターを装備したプトレマイオス2の移動能力が連邦軍の巡洋艦よりも劣るとは考えにくいことから、CBは決断こそ早かったものの、出発するまでにかなりの時間を費やしてしまったことが窺えます。理由としては、最短でも一か月以上に及ぶ火星との往復に必要な物資の補給と、擬似GNドライヴ搭載型であるラファエルガンダムに対応するために、艦内の設備を整備する必要があったことなどが考えられます。

CBはELSとの戦闘に突入しますが、まともに戦えない自分が為すべきことは何か、火星に到着する以前から刹那は決意を固めてたのでしょう。意識共有によってELSとの対話を試みるため、刹那はトランザムバーストを実行します。本来のトランザムバーストにはツインドライヴが必要となりますが、粒子貯蔵タンクで稼働しているダブルオーライザーでも、ライザーシステムを応用することで擬似的なトランザムバーストを行うことが可能となっています。機体を中心とした全方位ではなく、ELSの群れへ向けて帯状に意識共有領域が展開されたのも、限られた粒子で最大限の効果を得るためと思われます。あるいはそれは、初めて他者から呼びかけられたことに対するELSの喜びの表れであったのかもしれません。刹那の呼びかけに対するELSの応えは、暴力的なまでの情報の奔流でした。それは一人の人間が到底受け止められるものではなく、刹那は脳に損傷を負い、ダブルオーライザーもELSに侵食されてしまうこととなります。最悪とも言える状況での唯一の救いは、ガデラーザの場合のように、ダブルオーライザーが無数のELSに包囲されなかったことです。これは脳を損傷したことで刹那がすぐに意識を失い、脳量子波が途絶えたためでしょう。もしデカルトのように意識を失わない程度の状態が続いていたならば、機体はELSの群れに飲み込まれ、刹那の命運は完全に尽きていたはずです。
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