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ELSジンクスとガンダムタイプ

複数の小型の個体が合体することでジンクスIVへと変貌したELSは、ビーム兵器やGNミサイルを駆使して攻撃を開始しました。ジンクスIVそのもののようにも見えるELSジンクスですが、細部の形状や機能などには多くの違いがあります。特に腕部については腕と武装が一体化した形状となっており、これはELSが手に物を持つという行為を理解できなかったためか、あるいは合理化した結果と考えられます。腰のGNバルカンの砲口も塞がっているほか、各部のスラスターも機能しているようには見えません。おそらくELSの特殊な推進方法をMSの姿でもそのまま使用しているのでしょう。性能面でもオリジナルのジンクスIVとの間には大きな差が存在します。それはELSジンクスは無人機であるということです。あるいは搭乗していたパイロットをも一つのパーツとみなし、コックピット部分には人間を模したオブジェクトが鎮座しているという可能性もありますが、いずれにせよパイロットの安全を考慮する必要はありません。そのため、たとえスペック上は同等であっても、ELSジンクスは有人のジンクスIVには不可能な限界性能を引き出すことができるのです。

火星に派遣されていたために戦闘開始に間に合うことが出来なかったソルブレイヴスはようやくの帰還を果たし、ジンクスIVへと変貌し連邦軍を圧倒しつつあったELSの群れに楔を打ち込むことに成功します。その際、ELSジンクスの姿を確認したグラハムは思わず「相手がガンダムタイプとは」と叫んでいます。このセリフは劇場版の企画段階において、グラハムがダブルオーライザーに変貌したELSと戦う場面があったためとされていますが、劇中での話に限るならば、グラハムはジンクスをガンダムであると認識しているということになります。ジンクスはガンダムスローネを基に開発された機体であり、系譜の上では歴としたガンダムであることは確かです。しかしその事実は公表されておらず、いかに戦後のCBとの関係に変化があったとはいえ、連邦軍がジンクスをガンダムタイプなどと公に分類するとは思えません。ジンクスについて、グラハムが明確にガンダムであると認識している理由としては、ミスターブシドーであった時期において、かつてのCBが壊滅するまでの内幕をリボンズから明かされていたためという可能性が考えられます。ガンダムタイプと語るグラハムの口調には、多分に自嘲の念が込められているように見えました。刹那との戦いでガンダムへの妄執を晴らしたはずのグラハムでしたが、戦場で再びガンダムタイプと相対したことは、彼に自らの宿命、断ちがたい因縁をあらためて悟らせることとなったのかもしれません。
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