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劇場版 機動戦士ガンダム00 Part.18

ELSとの激しい戦いが続く中、脳に損傷を負って治療中の刹那はいまだ昏睡状態にありました。刹那がパイロットスーツを着たまま寝かされているのは、目覚めたらすぐに出撃できるように、というわけではなく、スーツが生命維持装置を兼ねた最も優れたプロテクターであるからです。かつてはモレノ医師、アニューなど、専門知識を持つ医療スタッフがいたプトレマイオスですが、現在はその任に着いている者はいません。ヴェーダのバックアップなどによって、医療に詳しくはなくとも高度な治療は可能であるのでしょうが、機器の操作には誰かが精通しておらねばならず、おそらくそれはフェルトの役割であると考えられます。ティエリアによる迅速な再生処置の効果があったのか、刹那は順調に回復し、夢にうなされるほどとなっていました。これは脳が活発に活動している証であり、苦しむ刹那の姿にフェルトは涙していたものの、目覚めの兆候として喜ぶべきことでもあります。

苦しむ刹那が見ていた夢とは、彼が歩んできた血塗られた半生にまつわるものでした。多くを失い、そして他者から多くのものを奪った末に、CBのガンダムマイスターとして一定の成果を手にした刹那ですが、自身の存在意義については何も納得してはいなかったのでしょう。イノベイターとして覚醒し、戦いではなく対話による紛争根絶という道が示されたものの、戦うことしか知らなかった自分にそのようなことが可能なのか。そもそも自身によって命を奪われた者達がそれを許すだろうか。対話のためのガンダム、ダブルオークアンタの開発が行われ、仲間から大きな期待を寄せられながらも、決して拭うことが出来ない罪の深さから、刹那は深い迷いの中から抜け出せずにいたのかもしれません。

刹那に目覚めを促すこととなったのは、夢の中に現れたかつての仲間、クリスとリヒティ、そしてニール・ディランディでした。ニールは「お前は変われ。変わらなかった俺の代わりに」という言葉を再び投げかけ、刹那を送り出します。刹那にとってこの言葉はニールから託された想いとなっているようですが、実のところ、ニール本人から直接言われたものではありません。サーシェスによって重傷を負わされ、昏睡の中で見た夢に現れたニールから言われた言葉です。刹那の中のニールがなぜ自らの生き様を否定しているのかといえば、弟であるライルにさえも徹底して復讐心を隠していたというニールの姿から、ニールも自らの歪みを自覚していたであろうということ。そして過去に囚われ命を散らしたニールの在り方は間違いであると、その死の瞬間を目撃した刹那は理屈によらず理解していたからなのでしょう。
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