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劇場版 機動戦士ガンダム00 Part.19

長い昏睡から目覚めた刹那は直ちにダブルオークアンタへと搭乗し出撃します。しかしその目的は戦うことではなく、ELSとの対話を果たし、戦いを止めることにありました。対話を目的とするダブルオークアンタが必要以上の戦闘を行ってしまった場合、ELSとの間にさらなる誤解を生む危険性があります。そのため、ダブルオークアンタは強大な戦闘能力を与えられながらも自衛以上の戦闘行為を行うことは無く、ひたすら超巨大ELSの中枢を目指すこととなったのです。ELSは全体で単一の生命体であり、意識共有は中型以下のELSが対象であっても可能であるようにも思えます。それでもティエリアが対話の成功のためには超巨大ELSの中枢に至る必要があると判断した理由は、刹那への負担を軽減することが理由であるのかもしれません。火星でのトランザムバーストでは無数のELSと意識共有を行った結果、刹那の脳に過大な負荷がかかり、脳細胞を損傷することとなりました。これはELSからの情報量が膨大であったことが原因ですが、多数の個体と同時にリンクしてしまったために余計に情報量が増大してしまったという可能性も考えられます。そのため、今回は意識共有の対象を超巨大ELS単体に絞ることで、少しでも成功率を上げようとしたのではないかと思われます。

すでに連邦軍は壊滅状態にあり、プトレマイオス2もELSによって浸食され、残された時間はわずかです。サバーニャとハルート、そして火星での戦いで刹那の覚悟を見届けていたグラハムによって切り開かれた道を突き進むダブルオークアンタは、超巨大ELSを取り巻く雲のような物体が存在する地点までたどり着きますが、ELSの密度はより高く、攻勢はより激しくなり、ついには反撃をせざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。この時ダブルオークアンタに激しい砲撃を加えていたELSはバイカル級航宙巡洋艦の前部分を3基生やしているという異形の個体で、その撃退のため、刹那はティエリアに止められていたトランザムの使用を決断することになります。ティエリアがトランザムの使用を制止した理由は、超巨大ELS内部でのトランザムバーストのためには貯蔵粒子を温存しなければならないという理由によるものです。しかし脳量子波によってツインドライヴとリンクし、機体と一体化している刹那にはクアンタのポテンシャルがより正確に理解できていたのかもしれません。たとえここで貯蔵粒子を使い果たしたとしても、ELSの中枢に至るまでに再チャージは可能であると判断したのだと思われます。そして刹那があえてトランザムを使用した理由がもう一つ考えられます。それはこの時点でのクアンタに貯蔵されていたGN粒子は、刹那が目覚める前にチャージされたものであるということです。ツインドライヴはイノベイターの脳量子波と連動することによってより純度の高いGN粒子を生み出すという特性を持っています。つまり刹那が搭乗していない状態でチャージされたGN粒子は純度において劣ることとなり、ELSとの対話の成功率に少なからず影響を与える可能性があるのです。そのことをイノベイターとしての直感で察知した刹那は、より純度の高いGN粒子に入れ替えるため、トランザムを使用することで既存の貯蔵粒子を使い果たそうとしたのかもしれません。
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