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劇場版 機動戦士ガンダム00 Part.23

ELSとの対話を果たした刹那はELSの母星へと旅立つべく超巨大ELSから脱出を図りますが、グラハムによって開けられた侵入時の穴は当然ながらすでに塞がれていました。刹那はやむなくGNバスターライフルによって脱出口を作ろうとしますが、直後にELS自らが外への道を作り出したことにより、この期に及んでELSに対して攻撃を行うというリスクを刹那は回避することになります。この場面、外に出たいという刹那の意図をELSが理解しなければ、GNバスターライフルが放たれていたようにも見えますが、そもそも刹那にはその意思はなく、外に出たいという意思を伝えるためのジェスチャーとして、GNバスターライフルを構えたという可能性の方が高いでしょう。

脱出した刹那はすぐさまELSの母星への超長距離量子ジャンプを実行し、それを見届けるかのようにELSは戦闘を停止しました。そして地球への侵攻を止めたELSは集結、融合し、人類に対して敵意が無いこと伝えるべくある形へと変貌することになります。それは一輪の花でした。この花は、かつて戦いに疲れた刹那の夢の中にマリナとともに現れた花であり、アロウズとの最終決戦の前にフェルトから贈られた花と同じものです。おそらく自覚してはいなかったと思われるものの、刹那にとってはその花のイメージこそが戦いとはもっとも遠いものであり、刹那の深層意識に触れたELSはそれが戦いを望まないということを示す形であると理解したのでしょう。

月に匹敵する大きさの超巨大ELSが変貌した花は全世界の人間が目撃し、戦いが終わったという事実を理屈を越えて理解させられることになりました。結果的に花という形状をとることとなったELSですが、あるいは平和の象徴として別の形状を選択していた可能性もあります。刹那にとって戦いから遠い存在、戦いを否定する存在といえば、言うまでも無くマリナ・イスマイールでしょう。フェルトから贈られた花がかつて夢で見たものと偶然同じであったことから、刹那の中ではその花のイメージが補強され、平和のシンボルとして定着することになりました。しかしもしフェルトから花を贈られていなかったとしたら、刹那にとっては平和=マリナというイメージが依然として勝ることとなり、それを読み取ったELSが宇宙に巨大なマリナ像を出現させていたかもしれません。
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