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ELS後の世界

ELSとの対話を果たしたことにより、人類は未曽有の危機を乗り切ることが出来ました。しかしELS後の世界はこれまで以上の不安定要素を抱えることとなり、ラストミッションを終えたはずのCBの重要性は、さらに増していくことになります。ELSとの戦いにおいて、地球連邦軍は結集した戦力の7割以上を失うこととなりました。これは未だ人類同士の紛争が絶えない世界においては治安維持も困難なほどの損害であり、反対する勢力を半ば武力によって制することで成立した連邦体制にとっては致命的と言えます。ELS戦後の地球においては、連邦から離脱しようとする国が続出するかもしれません。

得体のしれない異星体であるELS、そしてそのELSとコミュニケーションを行うことが可能な新人類イノベイターの立場を全面的に擁護しなければならないということも、連邦政府の立場を厳しいものとしています。いかに言葉を尽くしたところで、実際に戦ったものほどにはELSの脅威を理解することは不可能であり、多大な損害をうけながらもELSとの共存を図ろうとする連邦政府の姿勢は弱腰と映るかもしれません。また、ただでさえその能力の高さによって既存人類との間に軋轢を生むであろうイノベイターは、ELSと交信できるというその能力によってより不気味な存在として見られることになるでしょう。

ELS戦後の混乱に臨む上で、連邦政府が採るべき方策はただ一つと言えます。それは正確な情報の周知を徹底するということです。ELSとの戦いはなぜ起こり、なぜ終息したのか。イノベイターの能力とその発生条件など、連邦自身も解明できていないことは多いにせよ、ヴェーダの力も借りることで可能な限りの情報を市民に提供していくことが、混乱の拡大を抑止する最善の手段であることは間違いありません。嘘でごまかし、事実を隠蔽することは疑念と誤解を生み、対立を深めるだけであるということを、アロウズによる暴虐を通じて連邦政府は思い知ったばかりであるはずです。
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